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いう異常をもっている人たちがいるのです。そういう人たちは、たとえば同じ条件で生活したとしても、脂肪の分解が起こりにくいのです。
物を食べると皆さん方はからだが熱くなります。ちょっと汗をかくようなことがあると思いますが、そういうことが非常に起こりにくい。熱散性が低下している、当然この状態はエネルギーが相対的に過剰な摂取状態を引き起こすので肥満になります。
さらに、このインスリンの抵抗性を生み出すもう一つのファクター、TNFαというサイトカインも脂肪組織から分泌されていることがわかりました日この脂肪組織が過剰に蓄積された状態では、こういうサイトカインの分泌も盛んになって、直接的に末梢でのインスリンの効きを悪くする、つまり細胞膜レベルに悪影響を及ぼすことがわかっています。ですから脂肪組織という本当にエネルギー蓄積だけの組織だと思っていたものが、ホルモンをつくっている、あるいはそこの受容体に異常があれば、こういった仕組みの異常が発現してくる、あるいは各種のサイトカインを分泌している、ということがわかってきました。そして、その中の一つは直接的にインスリンの働きを悪くしている。こういうことが肥満で起こっているがゆえに、肥満を伴った耐糖能異常者は要指導と判定される。肥満を呈していて、それがとくに腹腔内に体脂肪を多くもっているという形で太っている人たちでは、図3に示すようなサイクルが異常になってきます。そして肥満を契機として高インスリン血症が起こる。
この高インスリン血症があることが、結果としてさまざまな影響を生体に及ぼす。高インスリン血症とインスリン抵抗性、糖の利用の悪さ、耐糖能障害は裏腹の関係にあるということです。インスリンがたくさん出ていると、食べたものが脂肪に蓄積されやすい。そのときに内臓脂肪型で太るということが非常にリスクの高い肥満として認識される。その

 

 

 

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